地球温暖化問題解決の手段として期待が高まっていたバイオ燃料が、世界的な食料不足と食料価格の高騰という困難な問題に直面している。欧州などでバイオ燃料の見直し論も出るなかで、米農務省は「食料の小売価格押し上げへの影響は軽微」とする見解を示した(2008年5月20日 日本経済新聞夕刊)。 限られた収穫を「エネルギー」と「食料」とが奪い合う現状を放置したままでは、バイオ燃料の健全な発展・普及は望めない。そこで注目されているのが、食料以外の原料からのバイオ燃料生産だ。発酵技術の進んだ日本では、さまざまな技術開発が進む。「食を奪う」という批判にバイオ燃料がどう答えるか。指摘される課題と日本での研究開発の動向を紹介する。 「バイオ燃料による食料小売価格押し上げへの影響は軽微」とする米農務省の見解を紹介したのは、2008年5月20日の日本経済新聞夕刊である。農務省の見解によると、食料高騰には新興国の経済成