青い空に煉瓦の赤がくっきりと映える。ピリッと冷えた朝の空気を、熱い思いが籠もったピアノの音が振るわせる――今月いっぱいで閉庁する奈良少年刑務所のお別れイベントとして、ジャズピアニストの山下洋輔さんが11日、構内で野外演奏会を開いた。近隣の住民など約450人が演奏を堪能した。 重要文化財に指定された奈良少年刑務所の庁舎同刑務所は、旧奈良監獄時代から続いた108年にわたる歴史に幕を閉じるが、建物は国の重要文化財に指定され、観光資源として保存・活用されることになっている。この刑務所を設計したのは、山下さんの祖父山下啓次郎。山下さんは、地元の人らが作った「奈良少年刑務所を宝に思う会」の会長となり、保存運動の先頭に立ってきたが、その念願が叶ってのコンサートだ。 朝10時から聴衆を前にしての演奏は「生まれて初めて」という山下さんだが、祖父の作品である建築物を前に、自作の『ゆずり葉の頃』、奈良をイメージ