情景描写 秋山文体の情景描写は「情景が目に浮かぶ」「臨場感がある」とよく評される。私もそうした見解に異論はない。ないのだが、しかし秋山文体は本当に情景が目に浮かぶことを意図して書かれたものなのだろうか。 E.G.コンバット3rdのあとがきを思い出して欲しい。そこにはこう書いてある。 わたしは基本的には夢見がちなオトコでありまして、「文章でしか表現できないこと」があると固く信じているフシがあります。本文を書くときも、「文章で表現してこそ面白くなる切り口を探して書こう」といつも努めておるつもりであります。 あっているかどうかはさておき、自由間接話法による地の文と内面描写の意図的な混濁、繰り返しによるリズム感も「文章で表現してこそ面白くなる切り口」であると言って間違いではないだろう。しかしそれだけでなく、情景描写においてもこれはやはり意識しされているのではないか。 具体例による比較 例として秋山