『ルリユールおじさん』(いせひでこ著、理論社)という絵本をご存じだろうか。大切にしている植物図鑑が壊れてしまい、製本職人に修理してもらう少女の話である。 ルリユールとは西洋製本術、製本工芸術のことを指す。ヨーロッパ、とくにフランスでは、仮とじの状態で購入して、ひいきのルリユール工房で製本する習慣がある。いせの絵本はこの技術を正確に伝えている。絵本ではあるが、大人の読者が多い。 この絵本のヒットもあってか、製本に対する関心が高まっている。ルリユール教室はどこも人気だという。ルリユールだけでなく、活版印刷に興味を持つ人も増えている。 ワークショップや工房見学もあちこちで行われている。東急ハンズなどに行けば製本の道具や材料が手に入る。私も大学の授業で簡単な製本(和本をつくる、文庫本をハードカバーに仕立てるなど)をやってみたが、学生たちには好評だった。 デジタルの時代になぜルリユールや活版