米国では過去数十年の間、所得格差が拡大の一途をたどってきた。格差拡大の過程を検証する1つの方法は、統計学の基本的な概念を使うことだ。つまり所得の分配が、どれほど正規分布から外れたかを把握することだ。 すべての対象データに関する平均値(mean、データの合計値をデータ数で割った値)と中央値(median、データを数値順に並べた時に真ん中の順位に位置する値)を割り出した際に、全体のグラフがベル・カーブ(鐘形曲線)を描く「正規」分布の場合は、平均値は中央値と等しくなる。そして、この2つの値の差が開くほど、データがどちらかの方向に偏っていることになる。 米国勢調査局の集計による所得データの中央値と平均値を見てみると、かつてはこの2つの値がかなり近い値だったこと、そして今では大きな開きが生じていることがわかる。まずは一例として、全人種の世帯所得の中央値と平均値について、時間の経過にともなう変化を検証