●日本の古典・古文書等は、明治になって、西洋活字が導入されるまでは、大部分が変体仮名と草書体で記録されていた。古代・中世までは、書写本だから、当然、筆で墨を使って紙に書いていた。近世になって、木版印刷が開発された時、写本の複製というスタイルをとったため、江戸時代の本も、変体仮名・草書体という形で記録され、出版された。江戸時代には、中国から漢籍が伝わったため、漢字の明朝体の本もあるが、大部分は草書体・変体仮名というスタイルであった。 ●私は、大学3年の時、卒論の仮名草子『可笑記』の版本を見て、初めて変体仮名・草書体の本に出合った。それまでは、専ら西洋活字の本を読んでいて、それが普通だと思っていた。しかし、仮名草子を研究するには、変体仮名・草書体の本が読めなければ、新しい分野は開拓できないだろうと、独学で版本・写本を読んだ。大学3年・4年の頃である。 ■古典の校訂は研究か? ●十数年も前のこと