2020年9月を迎え、戸田真琴によるコラム連載『戸田真琴と性を考える』の前回更新から約半年が経った。その間、世界は新しい脅威と出会い、踊らされるように生活を変えざるを得なかった。いままで「当たり前」にできていたことが難しくなり、その代わりに新しい「常識」が生まれた。 本コラムの打ち合わせのため数か月ぶりに彼女と会ったとき、私たちは「常識」への戸惑いについて話し込んだ。決して見て見ぬ振りをできない困窮や閉塞感のある生活、その中でも前向きに経済活動をする必要性――「緊急事態宣言」明けからはやくも4ヶ月弱の時間を過ごした今も、戸惑いはしこりのように、胸の片隅に残っているのだ。 「この数か月間、あらゆるものが変わってしまった日々を、戸田さんはどう見つめていたんでしょうか? 私たちは、どうやって生きていくべきなんでしょうか」。振り返れば漠然とした問いかけだったが、戸田はこのコラムを綴ってくれた。今の