1 2 3 4 農政を食管法時代の昔へと戻しかねない 「トレーサビリティ法」という天下の悪法 ドサクサまぎれとはこのことか――。 やや旧聞に属するが、麻生・自民党政権の求心力が著しく低下し始めていた今年4月、農政改革の時計の針を大きく逆戻りさせかねない“ある法律”が国会で成立した。 正式名称は、「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律」、通称“米(コメ)トレーサビリティ法”である。 なぜこれが問題なのか。それは、端的に言えば、農林水産省のいたずらな権限拡大そして農協グループの勢力復活を通じて、農政を食管法時代の昔へと戻しかねないからである。 説明が必要だろう。まずトレーサビリティ法とは何か。これは、役所的な表現をすると、農産物や畜産物の生産者や生産過程の情報、食品・加工・流通に関する情報を記録・管理することによって食品の履歴や所在についての情報を、流通過程か