「白いモノ(コメ、麦、乳製品)を扱うと出世する」(農水省OB) これらは農水省が独占する国家貿易品目。同省は麦500万トン、コメ80万トンを輸入する世界に冠たる“輸入商社”である。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)で、農水省が恐れるのは国内農業の壊滅ではない。「農業保護」を名目に享受してきた輸入独占権を失うことにある。 これらの作物は輸入が増えるほど、国家貿易のマージンが増え、農水省の特別会計が増える構造になっている。毎年1000億円超。農水省や天下り団体が無税で輸入し、関税より低い国家マージンを業者に課す、上納金のシステムが出来上がっているのだ。 コメの輸入も同様だ。WTOの懲罰処置で毎年、農水省は消費量の7・2%に相当する約80万トンを、加工・飼料用として無税で輸入している。国家マージンでもうけたうえ、食管法廃止後に余った数千人の農水省地方職員に「輸入米の保管・管理」という仕事