「人間は社会的な動物である」。古代ギリシアの哲学者アリストテレスの言葉である。他方ヤスパースは「人は関係性から逃れる事はできない」と語った。ワールド・ワイド・ウェブ。かつて形而上に張り巡らされた電子の蜘蛛糸は、地球儀の上に佇む人類を誰彼構わずすくい上げ、“世界のありのまま”を俯瞰する視点を与えた。しかし人類は一向にひとつになる気配を見せなかった。遠近法の如く歪んだ視界の前では、目の前にある笑顔の意味すら、解釈の名の下に歪んでいくがゆえに。 そうでなくとも、相次ぐ天災や貧富の格差、信条の違いに由来する諍いや今もなお残る偏見。社会は物理的にも精神的にも分断の一途をたどり続けている。そうした現状に対し、憂いを覚えているであろう人間の一人、小島秀夫氏。彼は自著「創作する遺伝子 僕が愛したMEMEたち」の中で“大震災という試練の中で、僕らに何ができるのか、未来をどう繋いでいくのか?その真価が問われて