2010年12月23日22:12 カテゴリ本経済 途上国化する日本 いま「イノベーションの法則」というメールマガジンの連載を本にまとめているのだが、関連する文献を読んでいるうちに、だんだんわからなくなってきた。日本が高度成長を遂げた原因は、トヨタ生産方式などのイノベーションだということになっているが、最近の実証研究ではトヨタの工程はフォードのまねらしい。「日本的経営」がすぐれているという神話も否定され、高度成長は技術移転と人口増加と人口移動でほぼ説明がつく。 特に90年代以降の日本の長期停滞を考える場合、イノベーションでそれを解決するというのは絵空事だろう。成長理論でいうイノベーションは、生産可能フロンティア上で生産しているとき、そのフロンティアをさらに上げることだが、ワイルもいうように、経済がフロンティア上にあることはまれだ。途上国の問題は、さまざまな制約によってフロンティアからはるかに