横田 宏(写真前列中央)◎大学卒業後、コンピューター会社勤務を経て28歳のときに「カナユニ」をオープン。飲食業は全くの素人だったが、多くの人に愛される名店に育て上げた。 3月11日の大地震の夜、カナユニは満席の予約が入っていた。が、電話が通じずキャンセルの連絡もなく、マスターの横田宏と従業員たちはお客のいない店内でしょんぼりしていた。そこへ突然8時30分頃、カップルが現れた。女は混乱の都会を浅草橋から徒歩でやってきた。男は埼玉県越谷市から自転車できた。彼は彼女の誕生日のためにカナユニに初めて予約を入れていた。その夜、従業員たちから祝福の拍手を受けて素敵な恋の物語がはじまった。 マスターの横田宏は強運の人である。立教大学を卒業してこれから時代の寵児になろうとしていたコンピュータの会社に勤めていたのだが、一念発起して脱サラを決行し、28歳で赤坂に“かなりユニークなレストラン”を開店した。それが