冷却機能を失って次々に爆発した福 島第一原子力発電所。2011年3月17日朝、2機の陸上自衛隊のヘリコプ ターが仙台市の霞目飛行場から現場に飛び立った。任務は、原発真上か らの放水だ。 陸上自衛隊第1ヘリコプター団の隊員9人はわずか1日の訓練を受 けただけ。オリーブ色の全面マスクにヘルメット、戦闘用防護服の上に 鉛製ベストを着け、戦いに挑んだ。福島第一原発事故から1年-。未曽 有の災害現場にいち早く駆けつけ、恐怖を克服し奮闘した男たちが当時 を語った。 「ここでもう1回爆発したらどうなるんだろう。家族はどうなるん だろう」。機上整備員の木村努さん(41)は、任務の遂行の目前、こん な思いが頭をよぎった。それまでヘリからの放水といえば、森林火災の 消火などがもっぱらだった。 現場上空に到達すると、爆発で屋根が吹き飛んだ建屋の骨組みがむ き出しになっていた。放射線を遮断するために鉛などの板で覆