脳死判定時に臓器提供をするかどうかーこれについて検討するとき多くの人が考えることは「脳死からの生還はあり得るのか」であろう。実際に「脳死」というキーワードで検索をかけると、「脳死からの生還」という予測候補が出てくる。なるほど、脳死から生還したという前例があれば、その可能性にかけて臓器提供をするべきではないが、生還の前例がないのであれば助かる見込みがある他人のために臓器提供をしたい、と考えるのは当然であろう。しかしながら、前例を調べるとその有無は判然としないようである。 脳死からの生還という事実があれば、まずその脳死判定が正しかったのかが議論されることになる。一方で、その事実は無視できないのであり、前例が全くないとはいうことができない。そのようなジレンマが存在しているようだ。 ここで一つ問うことにする。果たして、脳死からの生還の前例が無ければ臓器提供を認める、という論は正しいだろうか。人体は