iFデザインアワード 2016の金賞を受賞した、キヤノン、ニコン、ソニーの3社4製品のデザイン担当者が語った「デザインのプロセス」を全4回で紹介する。今回はソニーのステレオヘッドホン「h.ear on」。ミニマルで一体感のある造形を作り上げた背景には、ソニー史上初の試みが数多く盛り込まれている。ソニークリエイティブセンターシニアマネジャーの飯嶋義宗氏が語る、チャレンジに満ちたデザインプロセスとは――。 金属、プラスチック、糸、異なる素材を同色に仕上げる壮大な試み ソニーでは、スタジオミュージシャンを中心に愛用されている超ロングセラーモデル「MDR-CD900ST」や高機能モデルの「MDR-1R」など、数多くのヘッドホンを開発、販売している。h.ear onが目指したのは、今までのようなメカニカルなヘッドホンではなく、可能な限り造形を圧縮、凝縮し、1つの固まりとしてデザインすること。それによ