ウィスキーを飲むことを憶えた。 そうはいっても三日前だ。 小さなお猪口とウィスキーボトルを本棚にしのばせている。 だんだん、齢を重ねた結果だろうか、ひとりチビチビとやるのが妙に落ち着く。 晩酌は日本酒二合ですませている。 ああ、一日の雑務が終わったこの時間が至福の時だ。 なにをして過ごそうが、だれにもじゃまされない。 小さい頃、本当に日曜日がまちどうしかったことを思い出す。 なんであんなにまでも日曜に焦がれたのだろう。 そのくせ、当日はやることも、特別なこともなく死ぬほどの退屈をもてあましていた。 いまのように、ゲームといった電子機器もなく、本当にやることがなかった。 いつのころからか、本を読むことを憶えたのは、もっとも金のかからない趣味だったからだと思う。 余った時間はすべて本についやした。 一冊、読破するたびに、己が大きくなれた気がした。 実際はどうだったのだろう。 現実からの逃避・・