普通に考えれば「賃金水準は、絶対的な生産性で決まるんじゃない。その社会の平均的な生産性で決まるんだ」(山形浩生 の「経済のトリセツ」:生産性の話の基礎)となると、「所得水準は、社会の平均的な生産性で決まる――そしてそれを引き上げているのは製造業だ」なのだから、製造業の賃金水準は他の産業に比べてダントツに高く、他の産業はお裾分けでほどほどに高いはずだ。でも、事実は逆だ。 産業別の所定内賃金水準比較(連合まとめ)を見ると、全産業を100として、外貨を稼いで日本を引っ張っているはずの製造業は95.3と平均以下だ。賃金が平均生産性で決まるのなら、少なくとも生産性の高い産業ほど賃金が高いことが前提にならないとおかしい。そうでないなら、業種間格差が付きようがない。 高いのは証券業143.9、電気業(つまり電力会社など)123.9、広告業116.8、医療116.8、銀行111.2、公営企業109.5