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  • 『君の名は。』と「蝶々結び」――結びの物語

    これまでも新海作品には触れてきたし、そこで描かれる作品構造についてもいろいろと考えてきた自分としては、『君の名は。』が事前評判通りに大ヒットしていると聞いては見ないわけにいかないだろうということで、公開二週目の週末に鑑賞してきた。梅田の映画館は満席で、上映後にはあちこちからすすり泣きの声が聴こえるという状態。数字という面だけでなく、質的にも大ヒットと言っていいだろう。 僕の中で新海誠の作品は、いつも「セカイ系」という名前でくくられていたように思う。あえて雑な見方を提示するなら、ここで「セカイ系」は、「きみとぼくの物語が世界の危機に直結されており、二人の関係が成就することで世界もまた救われる」という構造を持つ一連の作品を指す。また、そうしたミクロなセカイの幸せがマクロな世界を救うという楽観的な発想も、ときに批判の対象となる。そこで新海作品は、『ほしのこえ』がそうであったように「設定としてあり

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