ときどき学校などで、文章の書き方を問われたり、話したりすることがある。 おおまかに言うと、まずは書くだけ書いて、それから削って推敲するのが肝心よ、などとお話しすることが多い。 どうして「まずは書くだけ書いて」なのかというと、私が見てきた学生のなかに、「うまく書かねばならない」という思いにとらわれすぎて、結局書けないという状態に陥る人が少なくないようだと、あるとき気づいたからだった。 考えるな、書け。というのは無茶にしても、うまいこと書いたろと意識しすぎると、かえって書けないということはありえる。 そらあキミ、頭のなかで文章をきっちり組み立ててから筆を降ろしたという江藤淳のように作文できるなら世話はないさ。そんな芸当ができない私たちとしては、上手か下手かはあとまわしにして、書くだけ書ければまずは上等さね。 というわけで、まずは書くだけ書くという次第。 本当に大変なのは、そして重要なのは、そう