しかし、壊れた水道管を修復できず、町内で1軒だけ水がまったく通らない民家がある。住民は「早く何とかしてほしい」と憤るが、町は明確な対処法を示せずにいる。 水が通らないのは、同町戸倉地区の西條良一さん(61)方。家族は5月4日に登米市の避難所から自宅に帰ってきて以来、ずっと水道水が出ない生活を強いられている。水道管が津波で壊れたためだ。 町の修復工事で、西條さん宅の手前約1キロまで来ている本管の修理は終わった。しかし、この集落にあった約80軒はほぼすべて流出し、現在住んでいるのは西條さん家族だけ。町上下水道事業所は「1軒だけのために管を通すのは難しい。水が流れず、途中で水質が悪くなる」と説明する。同事業所によると、西條さん方までの水道管を通すのに約1000万円かかるという。 このため西條さんは、近くの沢を流れる湧き水を自宅に引っ張れるよう、竹で装置を作り、風呂や洗濯などの生活用水に使っている