1人1票でないと少数決が起こりうる ――まず、なぜ1票の格差に関心を持たれたのかというところからお話しいただけますか。 升永 今から50年前、1963年の衆議院議員選挙の時のことです。私は当時20歳の大学生でした。自分の1票が、最も1票の価値が高かった地域を1票とすると0.2~0.3票(=1票の最大格差3~5倍)にしかならない計算になっていました。「これは法の下の平等に反する。不条理の極みだ」と思いました。しかし、この不条理を正そうにも、それは個人の力を超えていて「不可能だ」と思いました。そして、何もしないまま時間が経ちました。 12年前、私の小学2年生の時の担任の先生が、クラスで行った遠足の集合写真を送ってくれました。写真を見ると、1クラス50人でした。前列に並んでいる15人ほどの同級生の中で、5人ははだしなんです。戦争が終わってからまだ3~4年しか経っていなかった時期の日本は、親が小学