図書館司書やハローワークの職員ら、非正規の公務員が低賃金・不安定雇用に陥る「官製ワーキングプア」の問題が近年、社会的に注目されるようになった。しかし公務員の非正規化には歯止めがかかるどころか、むしろ加速していると立教大コミュニティ福祉学部の上林陽治特任教授は指摘する。 背景には、公務員を取り巻く厳しい環境変化とともに、職務を限定せず異動を繰り返して出世していく正規雇用の職員を中核に、そして専門性の髙い人材や女性を周縁に位置付けてきた「日本型雇用システム」の問題もあるという。待遇改善には何が必要かを、上林氏に聞いた。(ライター・有馬知子) ●定数削減で専門職を非正規に置き換えるようになった ――公務員の非正規化は、どのように進んできたのでしょう。 政府は1997年、公務員の定数削減に伴い、ジョブローテーションとOJTで職員一人一人の業務範囲を広げる方針を打ち出しました。これによって自治体が相
週刊文春に違法献金疑惑を報じられた甘利明・経済再生担当大臣が1月28日、東京都内で記者会見を開き、大臣を辞任することを表明した。記者会見には200人近い報道関係者が詰めかけ、その模様はテレビやインターネットで生中継された。 1時間10分ほどの会見の前半は、甘利氏が用意した文書を読み上げながら、報道された事実について釈明し、大臣の職を辞することを明らかにした。後半の約35分は、記者との質疑応答だった。 ●甘利氏自身の「現金授受」について繰り返し質問 質問したのは、朝日新聞、読売新聞(2人)、日経新聞、テレビ朝日、フジテレビ(2人)、そして、デモクラTVの8人の記者。その中で異彩を放っていたのは、ネットメディア「デモクラTV」の代表をつとめるジャーナリストで、元朝日新聞編集委員の山田厚史さんだ。 多くの記者が秘書の行動や大臣を辞めた理由などについてたずねるなかで、山田さんは、甘利氏自身の「現金
フェイスブックのボタン1つで、離婚書類の送付が可能になった――。SNSの普及が目覚ましいなか、米ニューヨーク州の地裁は、26歳の看護師の女性に対して、連絡が取れなくなった夫との離婚手続きをフェイスブックのメッセージ機能で進めることを認めた。 報道によると、女性は2009年に夫と結婚したが、価値観の不一致などのため、当初から別居していたという。夫は2011年以降、住所不定になり、定職もなくなった。電話かフェイスブックでしか連絡が取れない状況だったが、夫は離婚を拒否していた。 同州の離婚手続きでは、相手が関連書類に署名することが必要だが、書類の送付先が分からなかった。このため裁判所は2015年3月下旬、妻の代理人弁護士がフェイスブックのメッセージ機能を使って、夫に裁判所への出頭を求める判事命令を送ることを特別に許可した。 日本でも別居中のパートナーの住所が分からなくなるケースがありそうだ。米国
「衝撃的な張り紙だ」。こんな驚きの言葉とともに、ツイッターに、一枚の張り紙の写真が投稿された。そこには、「放置自転車です。ご自由にお持ち帰りください」と書いてあった。場所は、地方都市の駅前にある複合商業ビルの敷地内だ。 このツイートに対しては、「気持ちはわかる」と放置自転車に悩むビル側の対応に理解を示す声もあったが、「これって法律的にはセーフなの?」「民間が所有物を無許可で処理するのっていいのか」と、疑問の声も多く寄せられていた。 この紙を掲示しているビルの担当者に取材したところ、「放置自転車が多いので注意喚起のために出した。実際に持っていくことは想定していない」「張り紙のおかげで、放置自転車が減った」と話していた。 一般的な話として、自分の敷地内に自転車を放置された場合、「自由にお持ち帰りください」などの張り紙を掲示しても問題ないのだろうか。また、実行した場合はどうなるのだろうか。大村真
「離婚したい」「もともと好きではなかった」「未亡人になりたいから死んでほしい」——こんな言葉を妻から毎週のように浴びせられている夫がいるようだ。「精神的に限界だ」という男性から、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに投稿があった。 妻は結婚して以来、自分の思い通りにいかないことが起きると、ストレス解消目的で男性に暴言を吐くのだという。男性は「いつ機嫌が悪くなるかと毎日びくびくしている」「感情を捨てて、奴隷になったつもりでできる限り彼女の思い通りに動いているがもう限界」と記している。 男性は離婚したいと考えているが、妻は体裁を気にして「離婚する気はない」と言っているという。ちなみに、夫婦ともに浮気はしておらず、妻は主婦として家事をきちんとこなしているそうだ。 相談者の男性は「相手のDVや不倫がない限り、離婚成立の可能性はかなり低いと聞いた。単なる痴話げんかとみなされてしまうのか?」と、不安な様
所持品検査に違法性があったから、抵抗したのは適法――。公務執行妨害などの罪に問われたイラン国籍の男性の刑事裁判で、大阪地裁の長井秀典裁判長は3月上旬、無罪判決(求刑:懲役1年6月)を言い渡した。 報道によると、男性は昨年6月下旬、大阪市浪速区の路上で大阪府警西成署員から職務質問を受けた。その際、駐車中の車内の捜索に承諾したが、署員が車内にあったカバンの中まで調べようとすると抵抗。署員の腕にかみつくなどしたという。 男性は公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された。その後、自宅や車から覚せい剤や大麻などが押収され、覚せい剤取締法違反(所持)などの罪にも問われた。 しかし、長井裁判長は「警官に抵抗するためにかみついており、正当防衛にあたる」として、公務執行妨害について無罪を言い渡した。また、覚せい剤取締法違反などについても無罪とした。なぜ、このような判決になったのだろうか。刑事事件にくわしい岩井羊一
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