男性の勃起ないし射精には、いろいろなとらえ方がある。たとえば、「俺もう我慢できない!」といったように、勃起や射精を、生物学的な生理現象だと見る視点がある。生理現象としての射精は、生理現象としての排泄をアナロジーとして語られることが多い。「ヤリマン」や風俗嬢が「肉便器」と呼ばれるとき、このアナロジーが作動している。射精は排泄行為とされるのだから、セックスは女性を辱めるものになる。辱められているのに声を出して感じる女性は淫乱な存在だとされ、「暴力的に女性を支配するけれども、女性はそれを喜ぶ存在なのだ」という言説が誕生する。 ところが、男性はセックスや勃起や射精を恐れてもいる。あるがままの生理現象としての射精や勃起は、男性の自尊心(男性性)を満たさないのだ。女性を感じさせたりイカせたりすることのできない男性は「男失格」の烙印を押されてしまう、という恐怖感につねに苛まれている。女性を「悦ばす」こと