【ソウル=桜井紀雄】韓国で保守層を中心に核武装論が台頭している。北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)完成が現実味を増す中、韓国が掲げてきた「朝鮮半島の非核化」が有名無実となる懸念からだ。訪米した宋永武(ソン・ヨンム)国防相が米国防長官らとの会談で、米軍の戦術核兵器の韓国への再配備に言及したことで波紋が広がっている。 「韓国の野党やメディアから戦術核兵器の再配備を求める声が出ている」 8月30日、宋氏が米国のマティス国防長官やマクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)との会談でこう述べたことが明らかになった。韓国国防次官は31日、国会で「具体的な協議はしておらず、米国も消極的だ」と釈明。文在寅(ムン・ジェイン)政権は、国内の雰囲気を伝えただけだと、発言が持つ意味の打ち消しに追われた。 1991年に朝鮮半島非核化を宣言し、在韓米軍が戦術核を全て撤去して以降、核再配備論は長年、タブー