人間を含む動物は、身の回りの状況を常に認識して行動しているが、その処理は驚くほど迅速で柔軟性が高い。多くの生物は一度間違えると、次回は判定基準を部分修正する。情報処理の世界においても、このような生物の柔軟性に学び、認識技術が大きく進歩してきている。従来は、認識するためにまず対象をできるだけ細かく調べ、この調べたデータと予め学習したデータを統計処理した後、結論を出すのが通常の方法であった。しかし、我々は経験的にもっと効率的な方法を知っている。例えば、道路に動物がいる場合、まず動物の輪郭からサイズを認識し、そのサイズからこれがイヌかネコの可能性を引き出す。次に、近づいて形状や色を詳しく調べ、イヌでもネコでもなくキツネであれば、同種のサイズの可能性にキツネを加える。生物はこのように順次単純な判定を繰り返すことで、高速で高精度かつ柔軟な認識を行っている。 簡単な例を挙げてみる。図1のように平面の