「いじめられたことを理由にした娘の退学届を高校に出したら、受け取りを拒否された」。福岡県在住の母親から、首をかしげる話が西日本新聞の「あなたの特命取材班」に寄せられた。いじめの定義が広がり本人の心情を重視して認定されるようになった中、退学届が受理されないのはなぜだろう。取材すると、いじめを認める「二つの基準」と、解決に導く難しさが浮かんできた。 【画像】教師たちが作成するいじめ集団の構造図 悠花さん(17)=仮名=が県南部の県立高に入学したのは2017年春。順調だった学校生活が一変したのは同年10月、級友との何げない会話だったという。 「テストの結果、どうだった?」。成績が良かったという悠花さんが声を掛けたところ、級友Aさんは「察して」。相手を傷つけてしまったと不安に陥った悠花さんは、教室にいるのも苦痛になってしまった。 悠花さんが保健室にいた時、Aさんと級友Bさんが昼食に誘ってくれたが、