くっきりと張りのある声。意志を感じさせる美しい顔立ちに、しなやかな身のこなし。マネージャーに付き添われて取材場所に現れたのは、プロフィギュアスケーター・安藤美姫だ。 取材者の話にしっかりと耳を傾け、自分の言葉で、誠実に、しかもたくさん話してくれる。ただ瞳の奥に、和らぐことはあっても消えない硬さがある。「初めてお会いする方にはどうしても壁を作ってしまうところがあって」。彼女がそう教えてくれるまで、少し時間がかかった。でも、自らそれを口にできるようになったこと、それ自体が安藤美姫の濃密な、33年間の人生を物語っていると、のちにわかった。 名古屋で育ち、9歳からフィギュアスケートを始めた安藤が、女子史上初の4回転ジャンプに成功したのは14歳のとき。その後、16歳でシニアデビューを果たした天才少女は、トリノ五輪代表選考を前に激烈なメディア攻勢に晒されたという。あれから18年――。当時のことについて
![安藤美姫が明かす“記憶を失くした18歳の1年間”「特にトリノの頃はスケートのことをあまり覚えてないんです」(河崎環)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/f8aed500f9956ab38224f4bded06f53fabbd50c5/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnumber.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F5%2Fc%2F-%2Fimg_5c73bde8058ee880c8c38a80caa38f27102773.jpg)