自宅から通いやすいところにある音楽教室で、大人の習い事としてサックスを始めたのは六年前、娘が小学六年生の二月の時だった。程なくして中学に入学した娘は吹奏楽部に入って、元からの憧れなのか父の影響なのかは分からないが、父と同じサックスを始めた。 コロナによる緊急事態宣言が断続的に発出され、密室での楽器の練習などままならなかった時期である。そんな中でもどうにかやり方を工夫して、父は月に二回のプロのレッスンと週末の自主練に励み、娘も時間や場所の制限を受けながらも吹奏楽部の活動を週四で続けていた。 父は幼少の頃にエレクトーンを、娘は小学生の間ピアノを習っていたので二人とも楽譜は読めたし、サックスを始めた時期も数ヶ月の差でほぼ同時である。どっちが早く上手くなるかな、なんて競争する気持ちがあったりもした。いうて父にはプロのレッスンが付いていたから、最初の半年くらいは明らかに父の方が上手かったと思う。 と

