1. はじめに 小麦粉のタンパク質は水と結合してグルテンと呼ばれる粘性と弾性を併せ持つ物質になり、小麦粉食品の食感に大きな影響を与える1)。 パンや麺を作る時には、できるだけグルテンが形成されるように製造法を工夫するのであるが、逆にグルテンが形成されないようにする食品もある。その代表例が天ぷらの衣である。グルテンが形成されるように衣液を作り、天ぷらを揚げると、ボテッとした食感になり、天ぷらとしては失敗作ということになる。 ここでは、天ぷらの衣液を事例として、グルテンの形成について化学反応論の立場から考察してみたい。 2. 衣液の作り方 天ぷらの作り方に関する書籍をみると衣液については、以下のように記載されている。 ボウルに卵を溶きほぐし、冷水を加える。冷水を使うとパリっとした衣に仕上がる。水の量は卵1個に対して5から6倍が目安である。ふるった薄力粉を入れて、箸で崩す程度に軽く混ぜる。粉が少

