iPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製技術を応用し、実験用のマウスの寿命を延ばすことに成功したと、米ソーク研究所などのチームが16日、米科学誌「セル」に発表する。 将来的には、人間の老化抑制につながる可能性もある。 チームは、京都大の山中伸弥教授らがiPS細胞を作製する時に使った4種類のたんぱく質に注目。その遺伝子を働かせる物質を、老化の進行が通常より速い実験用マウスに投与した。 その結果、物質を投与しなかったマウス18匹は平均18週間で死んだのに対し、投与したマウス15匹は平均24週間生きた。加齢によるDNAの損傷が修復され、皮膚や内臓の機能が改善したとみられるという。 中尾光善・熊本大教授(細胞医学)の話「今回の実験で寿命が延びた仕組みは解明されておらず、結果は慎重に見るべきだろう」