芋子がみんなの人気者になるなんて……。 本当だったら喜ぶべきことなのだと宮子もわかっている。 でも……「これでみんな僕のいいなりだよ」と口元を歪めていやらしい笑みを浮かべた芋子の表情を思い返すと、宮子は暗い気持ちになってしまうのだった。 人を文字通り蹴落として人気を得た芋子。 それを非難する宮子に、芋子は言い放った。 「見下されながら生きていくっていうのがどんだけきついか……ホンシュウモノの宮子にはわからないだろうな」 ショックだった。 初めて芋子が宮子のことを「ホンシュウモノ」と呼んだ。 宮子は一体どうしてこんなことになってしまったのか、混乱の中でなんとか振り返ろうとした。 川沿いの掘っ建て小屋に、どこから流れてついたのか誰にもわからない謎の老婆が住み始めたのは、春の終わりの頃だった。 「騙された……騙されたよ……あたしの百億円が騙し取られたよ」 その老婆はいつもそうつぶやきながら、町の
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く