兵庫県・淡路島の南端にある「戦没学徒記念館 若人の広場」を見てきた。1967年に竣工した丹下健三氏の最盛期の作品だ。現在、施設自体は閉館。阪神大震災の被害を受けており、建物が壊れる危険もあるようだが、「自己責任にて行動されますようお願いします」という看板が立っていた。 石積みの階段を上ると、要塞のような建物が見えてくる。建物を回り込むと、アプローチの向こうに、ペン先の形を思わせる慰霊碑の影が見える。建物の屋上を歩き、一度階段を下りて、木立と石積みの壁に挟まれたアプローチを抜ける。歩を進める度に慰霊碑が迫ってくるようだ。 薄暗くて狭いアプローチを抜けた瞬間、鳴門大橋を臨む山の尾根に、その全貌が現れる。HP(双曲方物面)シエル構造の慰霊碑には、周囲の絶景に負けない力強さがあった。形状はシンプルだが、微妙な曲線のうねりに引き付けられる。本誌2005年4月18日号でも、建築ライターの磯達雄氏が、「
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