今回はやや趣向を変えて非英語圏のミステリー小説(日本の小説含む)が候補になり得る英語圏のミステリー賞を紹介しようと思ったのだが、それは次回にまわして、今回はまずその前提として日本のミステリー小説の英訳状況を紹介する。 2012年、東野圭吾の『容疑者Xの献身』がアメリカ探偵作家クラブ(MWA)のエドガー賞の候補になり日本でも大きく報道された。あまり知られていないかもしれないが『容疑者Xの献身』はほかにアメリカのバリー賞の候補にもなり、アメリカ図書館協会によりミステリー部門の年間最優秀作品に選出されたりもしている。また今年、中村文則の『掏摸(スリ)』がロサンゼルス・タイムズ文学賞のミステリー部門の候補になったことは記憶に新しい。 少しずつ英語圏における日本のミステリー小説の認知度が高まってきているようだが、それでは日本のミステリー小説はいったいどれぐらい英訳されているのだろうか。 The De