暮れの新幹線。 相当の混雑なので指定車両に移ってみた。 ここも満席だったが、 ふと見ると、座席に小さなバスケットが置いてあり中に小犬。隣に若い女性が座っていた。 早速「ここ空いてますか」と尋ねてみた。すると、その女性は、「指定席券を買ってあります」と答えた。 私は虚を突かれた思いがした。 改めて車内を見渡すと、多くの立っている大人の中、母親の隣で3歳ぐらいの男の子が座っている座席もある。あれも指定切符を買ってあるのだろう。 仕方なくいっぱいの自由席に戻ると、ここにも学童前と思われる子が親の隣に座っていた。 懲りもせずにまた「ここ空いてますか」と尋ねると、母親は仕方なさそうに子どもをひざの上に乗せ、席を空けた。 私はその座席で居心地の悪さを感じながら、この新幹線の中での三景をどう考えたらいいのか自問した。