2016 - 03 - 03 ■ 春の光 君のお母さんに案内されて 二階の この部屋に 足を踏み入れると そこはかとないその静けさに 君のさびしさがぼくにも感染する ついこの間まで バイトで 君の家庭教師みたいなことを やっていたけれど サイン、コサインがどうのとか ベルリンの壁 がどうなったとか そんなことよりも もっと ぼくは君に伝えたいことがあったんだ ほんとうは 君のお母さんが 空気を入れ替えますからと 窓を開けると キラキラと こぼれるように 春の光は 部屋いっぱいにちらばって 衣紋掛けの制服は やわらかな風に揺れ 机の上の ポートレート の君は かなしいほどの笑顔で 時を止めている おこがましくも、自身の詩を発表させていただく。 きのうまでは、ダウンジャケットを着ていたのに きょうは、やけに春っぽいので。 この詩は、 第一詩集「 新選組 になればよかった」 に収録されています。