京都で開かれた日本生態学会全国常任委員会に出て、福岡に戻る新幹線車中である。会議後の夕食の席で、これからは土壌生態系が面白いという話をしたら、賛同者が多くて、議論がはずんだ。そこで、今夜は土の話題を書いておこう。 土壌中には、膨大な量の炭素のストックがある。陸上生態系に蓄積されている炭素のうち、植物体に含まれるのは約4分の1であり、残る4分の3は土壌中にあると推定されている。この数字を知ったとき、なぜ炭素源が菌類やバクテリアの活動によってすみやかに分解されないのか、不思議に思った。大部分の炭素源は寒い地域の土壌にあり、湿潤熱帯では少ないのだろうと、最初は考えた。しかし、熱帯雨林の土壌には、全地球の土壌中炭素の約2割が蓄えられているそうだ。温度や水が不足しているために分解が進まないという考えでは、説明がつかない現象である。 ふと、宮崎県で見たキリノミタケ感染木を思い出した。キリノミタケが感染