フランスの高校卒業試験であるバカロレアでは、「哲学」が必須科目として設けられています。大学でフランス現代思想を教える坂本尚志氏は、答えが一つでない問いを扱う哲学教育には、自分と異なる多様な価値観を持った人々と「対話」ができる人間が育つヒントがあるといいます。そもそも「バカロレア試験」とは何なのか? フランスの学生が哲学を学ぶ背景について、詳しく解説していきます。 ※本稿は、『バカロレアの哲学 「思考の型」で自ら考え、書く』(坂本尚志)を一部抜粋のうえ再編集しています。 「バカロレアの代名詞」は哲学 バカロレア試験とは、フランスの高校生が卒業時に受ける試験です。合格すると、高校卒業と大学入学の資格を同時に取得できます。バカロレア試験では文・理系を問わず哲学が必須科目で、出題される問題は毎年多くのメディアで取り上げられ話題になります。21年の普通バカロレアの哲学の問題は以下の通りです。 議論す
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