「コロナ禍」はなぜ全体主義を呼び寄せているのか?(哲学者・仲正昌樹論考) 国民が「強いリーダー」を求めてしまう「落とし穴」と「人間の本性」 コロナ禍によって、リベラル・人権派とされる人たちまで、市民の基本的権利の制限を意味する「緊急事態宣言」やロックダウンを待望した。その決断を渋る政府首脳を無能呼ばわりし、反対する人たちを人殺し扱いをした。八月に入ってからも、緊急事態の再発出を要求する政治家や医師会幹部を英雄視して、決断できない政府を責める論調が続いている。さらに、経済を回すことを主張する人たちの側にも、“人命最重視派”を、日本経済を破壊する偽善者と見なして攻撃する傾向が強まっている。 これはいったい、社会と人間に今何が起こっているのか? 哲学者・仲正昌樹氏が新刊『人はなぜ「自由」から逃走するのか~エーリヒ・フロムとともに考える』(KKベストセラーズ、8月24日発売)で、「コロナ問題が人々