テレビや新聞で度々報じられる書店における万引き。しかし、万引きは書店だけで起きているわけではない。小売業共通の問題であるはずだ。ではなぜ本屋さんの万引きは社会問題としてこれほどまでにクローズアップされるのだろうか。その理由は、書店の利益率が他の業種と比較して低いことにある。 2012年の「書籍・文具業における総売上経常利益率ランキング」(日経MJ『第40回 日本の専門店調査』、2012年7月18日号)によると、紀伊国屋書店の経常利益率は0.4%だった。つまり、1000円の本が一冊万引きされると、25万円を売り上げなければその損失を取り返せないことになる。ではどうして書店の利益率はこれほどまでに低いのだろうか。 それは「委託制度」と「再販制度」と呼ばれる、書籍業界特有の流通システムに依るところが大きい。委託制度とは、書店で売れ残った本を出版社に返品できる制度のことだ。この制度を設けることによ