米小説家、リチャード・パワーズのデビュー作。「どうせ誰も読まないんだから、俺の知っていることをかたっぱしからぜんぶ書く」というコンセプト通り、テキストは2段組み400ページ以上という膨大なものになっている。パワーズを読むのははじめてでしたが、ここまで雑多な要素を注ぎ込みながら、歴史/戦争/記憶についての巨大なクロニクルとしての強烈な魅力を放っているのにはほんとうにびっくりした。しかし、24歳でここまで書いちゃうのってすごい。しかもデビュー作にしてこのクオリティ。テキストぜんたいから、なにかに取り憑かれたような情熱を感じた。これ、30代じゃ書けないよなあ、たぶん。読み終えるのにも時間がかかりましたが(なにしろ登場人物が多く、彼らがみな複雑に関係しており、その相関をつかむだけでもメモを取る必要がある)、とても刺激的で充実した読書でした。 物語は、1914年と1984年というふたつの時代をくりか