どうも世間の良識ある人々は選挙の時期になると、毎日を無為に過ごし、ろくに税も払っていない、普段ならば鼻にもかけない私のような男を捕まえて、「選挙に行け」などとしつこく言ってくるものであるが、今ひとつ釈然としないことに、彼らはどこに入れて欲しいかなどという指示はせずに、「白票でもいいから選挙に行け」などと言うのである。 ここで「公明党に一票入れてくれ」などと言って、夕食のひとつやふたつご馳走してくださるというのであれば、私も「わかりました」とにっこり笑って、投票所に赴き、投票用紙に「うんこちんちん」と書いて、投票所を後にするということもできるものであるが、そうしたことを何も言われずに、ただ選挙に行けとだけ言われても、普段政治などには一切興味を持たない私のような人間は、どこに入れればいいかわからず、往生してしまい、さりとてただ白票を入れて政治に参加する姿勢を見せるというのも何か違う気がする。