「平林さんお願いします」 バックで昼休憩をとっていたら呼び出しが流れた。おかしいな。ぼくはサンドイッチをテーブルにおいて、とにかく店に戻る。急に混んできたのかな。それとも……いや、それはないよな。ぼくに指名がきたなんて、でも…… 店はまったく混んでなかった。あの大人気の斉藤さんも、宮内さんもお客さんを担当せずに立ってる。でもぼくが呼ばれた。これって……指名だ! 一気にうれしさがこみ上げてきた。突き抜けるみたいにあたまのてっぺんまで一気にうれしさがあふれてきて、なんかちょっと、うまく歩けなくなってロボットみたいになってる。ぼくみたいに、ぼくみたいに、まともにお客さんとお話もできないようなやつに、練習はしてるけどまだうまくもなんともないやつに、指名がきたんだ! 気に入ってくれたお客さんがいた! うわあ! うわあ……。レジの近くで待ってたのは、どう見てもやくざ屋さんだった。ぼくこの人担当したこと