作者: なゆら ウェブサイト: リッスン・トゥ・ハー 文字数: 673 ☆優勝作品 それから後の話をしておく。あんな目にあった春子はやがて綺麗な嫁となり、俺も随分泣いて、おい、てめえ、一発殴らせろ、ってあいつに言ってやったけれど、薄ら笑いでごまかしやがる。ほんとに殴るわけにもいかねえから冷や酒かっくらってたらでろんでろんになって随分暴れたらしい。春子がいなくなった冬に、女房は死んだ。穏やかな最後だった。孫を抱かせたかったって春子は大泣きした。お前、脳だけなんだから抱かせることなんかできねえだろ、って俺は言えなかったね。春子が抱かせたかったんだからそれでいいじゃねえか。女房が死んで3度目の冬に孫が産まれた。目元なんか女房にそっくりだっていってやったら春子、涙が止まんないんだ。つられて俺も涙ぐんだりしてな。さて、俺のこと。もうこりごりだって思ってたけど時間が経つと忘れがたいんだ。あの感触、味、