国の天然記念物「奈良のシカ」を保護する施設で、「シカが相次いで死んでいる」などと獣医師が告発した問題で、奈良県は「収容環境は不適切である」とする調査結果を公表しました。2022年度に、施設内にいた334頭のうち65頭が死んでいて、特に雄鹿の死亡率が高かったということです。 問題となったのは、奈良の鹿愛護会が運営する保護施設「鹿苑」のうち、奈良公園周辺で農作物に被害を与えたシカを収容する「特別柵」とよばれるエリアです。今年9月、この施設で働く獣医師が、「愛護会は特別柵のシカにエサを適切に与えず、衰弱・死亡させている」などとと告発していました。 奈良県は、獣医師3人らによる調査で、国際水準とされる「動物の5つの自由」のすべての指標に抵触していると判断しました。 ①飢え、渇きからの自由 栄養不良による飢餓個体が、目視で2割程度確認されたということです。また、水飲み場にシカが侵入するため、糞や泥で