今年も春の交通安全運動の10日間、都内各所では警察官や白バイの姿が見られた。パトカーが視界に入れば運転手は速度を落とし、誰もパトカーを追い抜こうとはしない。いわゆる“ネズミ捕り”と呼ばれる取り締まりを行っている場面にも出くわすことも多く、この期間中、暴力団員は特に安全運転を心掛けるという。 「あいつら、本当に悪い」と指定暴力団幹部は、席に腰を下ろした途端、苦々し気に話し始めた。車を停めた通りの時間制限駐車区間の先からわずかに離れた場所で、警察官が取り締まっているのを見つけたという。「スピード違反でパトカーに捕まるのは仕方がない。だが制服を着た警官や白バイ隊員が違反を抑止できるのにそれをせず、隠れて捕まえるというのはダメだ」と幹部は力説した。 幹部は以前、都内某所の交差点の先で取り締まっていた制服姿の警察官に、右折禁止で捕まったという。「だがね、『あなたたち警官は、犯罪を未然に防ぐのが仕事で