1945年に敗戦した日本の処遇をめぐっては、米国、英国、中国、ロシア(旧ソ連)で分割統治する案があった。中でもロシアには、日本が降伏するタイミングで北海道に攻め入る計画があったという。なぜ実行されなかったのか。2021年に亡くなった作家・半藤一利さんの著作『昭和と日本人 失敗の本質』(角川新書)から、一部を紹介する――。 【写真】半藤一利氏の著書『昭和と日本人 失敗の本質』(角川新書) ※本稿は、半藤一利『昭和と日本人 失敗の本質』(角川新書)の一部を再編集したものです。 ■開戦直後に「戦争終結」を構想していたアメリカ 日本が太平洋戦争を決議したとき、当時の政府および軍部は、戦争終結をどのような形で行うかについてほとんど研究しないで、というよりも、万事あなたまかせで突入した。一言でいえば、ナチス・ドイツのヨーロッパでの勝利をあてにして、そのときには、孤立して戦うアメリカは戦意を失うであろう