同期入省の中から三十数年の歳月をかけて選び抜かれ、官僚の上に立つ政治家からも一目置かれる存在の「事務次官」。そんなエリート中のエリートの辞任劇は我々の想像以上の確率で起きているという。 【図表1を見る】『事務次官という謎-霞が関の出世と人事』より 約31年間に18人の次官が辞任あるいは逮捕霞が関の事務方トップが辞任に追い込まれる―それは、日本の行政機構にとって重大な失態を意味するが、過去を振り返ると、事務次官の辞任劇は想像以上の確率で起きている(図表1参照)。 1988年、政官界に激震が走ったリクルート事件で、文部省の元次官が未公開株の譲渡を受けて逮捕された。このケースを起点にすると、2019年12月、かんぽ生命に関する情報漏洩問題に絡み総務省の事務次官が更迭されるまで、約31年間に18人の次官が辞任あるいは逮捕に追い込まれている。 1.7年に1人の割合で責任を取らされた恰好だが、官庁の中