直木賞選考委員の五木寛之さんが、同賞の選評でミスがあったとして、選考委員を辞める意向を文芸春秋に伝えた。文芸春秋は強く慰留している。同賞は日本文学振興会が主催し、文芸春秋が実質的に運営している。 選評は22日発売の「オール読物」3月号に掲載される。佐々木譲さんの今期の受賞作「廃墟(はいきょ)に乞(こ)う」を論評するなかで、「破顔した」という表現について論じているが、その表現は作品中にはなかった。五木さんが出稿後に勘違いに気付き、訂正を求めたが間に合わなかったという。 18日に五木さんに会った文芸春秋の役員と編集者によれば「ミスを見過ごしたのは編集部の責任と伝えたが、五木さんからは選考の厳しさを知らせるためにも、1行の過ちで身を引くこともいいのではないかと言われた」と話している。 五木さんは1978年から選考委員を務め、現役最長。