王暉(ワン・フイ)氏は、『世界史のなかの中国――文革・琉球・チベット』(2011年)の中で、こういうことを言っている。 再生産プロセスの側面から見ると、「脱政治化」とは、生産条件(生産手段の再生産と生産力の再生産)の生産を生産過程から除外することによって、抽象的な生産過程をつくりだすことだ。例えば、沿海地域の再生産過程を維持していくためには、安価な労働力市場を創出しなければならないが、安価な労働力市場をつくるためには、都市−農村関係を組み替えて(その中には農村の社会関係や生産条件を崩壊させることも含まれる)、大量の農民労働者を沿海都市に流れ込ませる。最終的に、農民労働者を新たな生産条件に適応させるために、彼らに生産技能を学ばせるだけでなく、彼らを現行の生産秩序規範を遵守させる自由労働力へと転化させていかなければならない。(第一章「中国における一九六〇年代の消失――脱政治化の政治をめぐって」