著名な科学史家による、原発事故をめぐる省察。 福島の原発事故をめぐって―― いくつか学び考えたこと 作者: 山本義隆出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2011/08/25メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 10人 クリック: 372回この商品を含むブログ (36件) を見る この本を通読して実感したことは、「原子力」という訳語が日本ではあてられている核工学や核産業というものが、いかに国家権力や、国家主権の思想と深く結びついて成立してきた、いびつな「科学」であり「産業」であるか、ということである。 本書は三章からなっている。 「日本における原発開発の深層底流」と題された最初の章では、この国における「原子力政策」が、そもそもの初めから一貫して、核兵器保有が可能な能力を持ちたいという支配層の意志に基づくものであったことが、詳しく述べられている。 潜在的核兵器保有国の状態を維持し続け、